出来ない刺繍に追加しました

出来ない刺繍に追加しました

出来ない刺繍に追加しました

最近は店のシャッターを閉めていると気分が滅入るので
シャッターを開けて、中で仕事をしている。
扉入り口には、現在はお引き受けしていません、と書いた紙を張っているが
中年の男性に限って「ダメ?だめかな〜」と言って入ってくる。
無下に帰すのも可哀想なので、
お話だけは聞くようにしている。
今日朝一で入って来た中年男性は
「いいかな?」
「ご来店は6月からなんですが・」
「じゃあ、出直してこようか」
「いえ、大丈夫です。どのような刺繍でしょうか」
「名前を入れて欲しいんだけど」
「はい、大丈夫です。」
「どんな書体があるのかな」
見本帳をお見せすると
「いっぱいあるんだね。」
「はい、沢山あります。」
「糸はどんなのがあるの」
「こちらにあります。」
「大きさって選べるの?」
「通常は13ミリですが、どんな物に刺繍されるのですか。」
男性が袋の中から出した物を見て、びっくりした。
男性用のセクシー下着が数枚だった。
「こちらは洗濯なさっていますか。」
「はい、洗濯しています。」
「どこに刺繍するのですか」
「目立つところがいいんだよね」
「ここ」男性はど真ん中を指さした。
「ここは〜、肌に糸が当たって痛いんじゃあないでしょうか。」
「じゃあ、どこがいいかな」
「腰の辺りがいいと思います」
私は黄色いテープでセクシー下着に刺繍位置の印を付けた。
受付票をお客さんに書いてもらい
そして帰って行った。
流れで、つい引き受けてしまったが、後悔した。
客が帰ったあとに、よく見るとプライスラベルも無く、
よれよれ感がどうも着古している感じがした。が、預かり棚にしまった。
仕事中もセクシー下着の事で頭がいっぱいになった。
こちらで洗濯しようか。
いや、コインランドリーに入れている所を近所の人に見られては恥ずかしい。
もしも紛失してしまってたら、同じものを買いに行くのも恥ずかしい。
いろいろ考えあぐね、
やはり、これはお断りしようと思った。
そう思って、電話を掛けた。
「すみません、一旦引き受けたのですが、このような物はお引きけできません。申し訳ございません」
「わかりました。あとで取りに行きます」
たまにあるので、今、出来ない刺繍に男性用セクシー下着を追加させて頂いた。

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