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なぜ刺繍は一枚一枚違うのか
ワッペンで文字高が3ミリの英文字の型を作っております。
小さい刺繍になればなる程、
一枚一枚同じ刺繍というのは難しくなってきます。
その原因のひとつとして、布が関係しています。
布地を拡大してみると、縦糸横糸で編み込まれているので凹凸があります。
ミシンの針が、布の目のどこに落ちたかという事で、
糸の表情が変わります。
編まれた毛糸を想像してください。
凹凸の間の深くに針が落ちれば、糸の喰い込みも深くなり、
その結果、見える刺繍糸が細くなります。
凹凸の目の浅いところに針が落ちれば
余り糸が多くなり、刺繍が太くなります。
その他の原因として、
刺繍枠を張る時の力加減によっても違いが出てきます。
張りが強過ぎると刺繍枠を解いた時に
布のたわみが大きくなるので
刺繍も間延びをします。
枠を刺繍位置から外へ寄せるか、
中に寄せるかという事でも違います。
中側になれば張りが弱くなり、
外側になれば張りが強くなります。
解りやすい例でいうと、太鼓の革張りと同じです。
太鼓を叩くと外側と中側では音色が違います。
そして、その他の原因としては糸が関係します。
糸を拡大してみると一定の太さにはなっていません。
レーヨン糸は細かな繊維を集めた物なので
依り具合によっても違ってきます。
自然から抽質されたレーヨン糸は
自然の変化によっても姿が変わります。
雨の日は糸が湿気を多く含むので、
糸が切れ易くなる事があります。
微妙に糸の太さも違っています。
この様に刺繍が均一にならない原因は様々ありますが
ひとつひとつ表情を変えるのも
愛嬌のある刺繍の特徴と言えるるのではないでしょうか。
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