校舎を描いた刺繍の技術解説

上画像は、緑に囲まれた校舎をモチーフにした刺繍です。
22cmサイズのハンドタオルを四つ折りにした一片に収まるサイズで、大きさはW49mm × H33mm。使用糸はパールヨット製レーヨンの75d、オフホワイト、水色、緑、ピンク、茶色の5色です。
白壁の表現 ― 糸向きとタタミがけによる陰影
白いタオルに白壁を表現することは、一見すると単調になりがちです。しかし、糸の方向やタタミ縫いの種類を巧みに変えることで、光の反射に微妙な違いが生まれ、建物の陰影や奥行きを際立たせることができます。ここではコントラストを付けるため、白糸はほんの少し黄色みの帯びたオフホワイト糸を使用しています。
緑の葉の表現 ― 糸密度と方向で生き生きと
木々や植栽の部分は、糸密度・タタミの種類・縫い方向を細かく調整しています。
糸密度を薄くするとタオル下地の白地が透け、淡い緑に見えるため、濃淡の表現が可能になります。こうした工夫により、一本の緑糸から自然なグラデーションを引き出しています。
タタミがけの多様性 ― 光の効果で色を変化させる
タタミ掛けの種類は数値設定の変更も含めると無数にあります。タタミの種類を使い分けると、同じ色糸でも光の反射角度が変わり、見る角度によって異なる色合いを感じさせることができます。
これはレーヨン糸ならではの刺繍の魅力であり、プリントでは出せない質感表現になります。
小さな文字刺繍 ― 副資材を用いる
「School」の文字部分は、小文字高が2ミリになります。ハイセロンやトリックフィルムなどの刺繍資材を用い、型作りを根気よく作り、何度も試縫いをおこないましょう。小さな文字がある時はミシンスピードを落とす事が大事です。
この作品では、糸の方向・密度・タタミがけの種類を組み合わせることで、建物の立体感や自然の彩りを効果的に表現しています。特に、光の反射を利用した色の変化は、刺繍表現の奥深さを感じさせる技法です。